2008年 11月 13日
相方の趣味 その1 |
私の趣味といえば一応「盆栽」ということになる。
一応と、但し書きを入れたのは私の持っている「盆樹」、まだ盆栽の域に達していないからで、声高らかに「盆栽!」というのも躊躇われるような発展途上の幼木がほとんどだからである。しかも私の盆栽は「ミニ盆栽」というやつ、樹高15,6cmのものがほとんどで、関心の無い人から見れば盆栽には見えないしろものばかりだ。だから、相方も「植木」としか呼んでくれない。
私の趣味、盆栽に関しては改めて記事にするつもりだが、今日は相方の趣味について書く。
「エーッ、私の趣味、タケノコなんかじゃないよ!」と否定するだろうが、私が思うに、彼女のそれはどうも「タケノコ」であるような気がする。
しかし、生まれながらにして相方の趣味がタケノコだったわけではない。
実は、彼女が「趣味・タケノコ」を獲得するまでには長い道のりと私の存在もかかわる複雑な人生模様があった。
私は今、相方がどういう道筋を辿って「趣味・タケノコ」に至ったのかについて書こうとしているのだが、その前に、「趣味・タケノコ」を成立させるためには何が必要であるかについて言及しておくことにする。
単に、タケノコご飯が好きとか、てんぷらが好きというだけでは趣味といえない。「タケノコが好物」というだけの話。これを趣味として成り立たせるには「「喰らう」以外に最低限、「採る」という所作が加わらなければならないし、傾斜地を運び出すという作業も。
さらには、「灰汁だし調理」「惣菜調理」「おすそ分け配達」が加わり、「「間伐作業」「生産計画立案」というのも必要になる。
だから、タケノコを趣味にするのは簡単ではないのだ。
私自身も春になると、かなりの時間をタケノコに割くのだが、とてもとても、趣味の域にまでは達していない。いくつかの条件を満たしていないからだ。
調理関係がダメで、「生産計画を立案」も無い。
竹やぶさえあれば、何もしなくても、毎年春になれば、タケノコが自然に出てくる、というわけではない。
元気で健やかなタケノを収穫するには手入れが必要になる。特に大事なのは、間伐。他の山菜同様タケノコも初物には、「おお!よく出てきた、ありがたや、ありがたや、今年もまたお前と対面できたな、よしよし」と感謝の念で手を合わせることもあるが収穫最盛期になって、次から次へと地面からボコボコと出てきて、ありがたみがなくなると、採リ飽き、食い飽きて、掌を返したように、「もう要らん!じゃまだ!、来年の春までうろちょろ出てくるな!土の中でおとなしくしていろ!」とえらく扱いがぞんざいになる。
となると、タケノコは収穫されることも無く打ち捨て置かれた状態で竹へと成長していく。しかる後、竹やぶは竹が混み、光が差さなくなる。根は絡み合い、竹の生育にも影響が出てくる。何年かこの状態が続くと、ついにはひょろひょろとした栄養不足のか細いタケノコしか出てこなくなるから
竹同士、適当な間隔が確保されるように、余計なタケノコ(竹)を間引いてやらなくてはならない。時季遅れであっちこっちに、もぐらたたきのもぐらのようにで出てくるタケノコを探し出すのは結構大変な仕事だ。採り忘れて大きく伸びてしまった竹は切って運び出す。どれを間引くかは将来の生育構想にもとずき相方が決める。私は彼女の命に従って切り出すだけ。例年ならば、力仕事は私が受け持つ
間伐材は「はさ木」などに使われていた時代もあり、それなりに利用価値もあったのだが、今は、この大量の竹はゴミになるだけ。竹炭の研究でもやろうか。
さて、私はまだ、なぜに相方がタケノコを趣味にするようになったか明かしていない。私は若いときから出不精で、それが旅行であれ、ラーメン屋であれ、出かけるための段取りが面倒くさくて”どうしても"というときでない限り「お出かけ」は忌避していた。相方と一緒になった当初は、そ相方に気を遣って、それなりに出かけていたのだが(多分)そのうちにだんだんと本性がでてきて、さらには自営の零細事業が忙しくなってきて、相方のお出かけ提案にも「今回はパス!」を続けるようになった。長男が生まれてからも、次男が生まれても「今回はパス!」が続いた。「パス!」が続くうちに相方も私を誘うことに無力感を感じ、私を含まないお出かけプランを立てるようになった。子供が小さい時分は「お出かけの相手」がいたからまだよかったが、そのうち、子供も大きくなり、亭主相変わらず「寝たきり中年」をつづけ、「一人で出かけるのもなんだかねー」となり、5月の大型連休中も「行くとこないし、やることないし」→「タケノコでも採りにいくか~」ということになり、それが高じて、ついには趣味・タケノコになってしまった・・・。
今年の5月は亭主が体調不良だったため何も手伝えず、収穫、間伐、運び出し、調理、おす分け配達すべて一人でこなした。今年は豊作で、収量は「40~500本くらいかな?」らしい。
つづく
一応と、但し書きを入れたのは私の持っている「盆樹」、まだ盆栽の域に達していないからで、声高らかに「盆栽!」というのも躊躇われるような発展途上の幼木がほとんどだからである。しかも私の盆栽は「ミニ盆栽」というやつ、樹高15,6cmのものがほとんどで、関心の無い人から見れば盆栽には見えないしろものばかりだ。だから、相方も「植木」としか呼んでくれない。
私の趣味、盆栽に関しては改めて記事にするつもりだが、今日は相方の趣味について書く。
「エーッ、私の趣味、タケノコなんかじゃないよ!」と否定するだろうが、私が思うに、彼女のそれはどうも「タケノコ」であるような気がする。
しかし、生まれながらにして相方の趣味がタケノコだったわけではない。
実は、彼女が「趣味・タケノコ」を獲得するまでには長い道のりと私の存在もかかわる複雑な人生模様があった。
私は今、相方がどういう道筋を辿って「趣味・タケノコ」に至ったのかについて書こうとしているのだが、その前に、「趣味・タケノコ」を成立させるためには何が必要であるかについて言及しておくことにする。
単に、タケノコご飯が好きとか、てんぷらが好きというだけでは趣味といえない。「タケノコが好物」というだけの話。これを趣味として成り立たせるには「「喰らう」以外に最低限、「採る」という所作が加わらなければならないし、傾斜地を運び出すという作業も。
さらには、「灰汁だし調理」「惣菜調理」「おすそ分け配達」が加わり、「「間伐作業」「生産計画立案」というのも必要になる。
だから、タケノコを趣味にするのは簡単ではないのだ。
私自身も春になると、かなりの時間をタケノコに割くのだが、とてもとても、趣味の域にまでは達していない。いくつかの条件を満たしていないからだ。
調理関係がダメで、「生産計画を立案」も無い。
竹やぶさえあれば、何もしなくても、毎年春になれば、タケノコが自然に出てくる、というわけではない。
元気で健やかなタケノを収穫するには手入れが必要になる。特に大事なのは、間伐。他の山菜同様タケノコも初物には、「おお!よく出てきた、ありがたや、ありがたや、今年もまたお前と対面できたな、よしよし」と感謝の念で手を合わせることもあるが収穫最盛期になって、次から次へと地面からボコボコと出てきて、ありがたみがなくなると、採リ飽き、食い飽きて、掌を返したように、「もう要らん!じゃまだ!、来年の春までうろちょろ出てくるな!土の中でおとなしくしていろ!」とえらく扱いがぞんざいになる。
となると、タケノコは収穫されることも無く打ち捨て置かれた状態で竹へと成長していく。しかる後、竹やぶは竹が混み、光が差さなくなる。根は絡み合い、竹の生育にも影響が出てくる。何年かこの状態が続くと、ついにはひょろひょろとした栄養不足のか細いタケノコしか出てこなくなるから
竹同士、適当な間隔が確保されるように、余計なタケノコ(竹)を間引いてやらなくてはならない。時季遅れであっちこっちに、もぐらたたきのもぐらのようにで出てくるタケノコを探し出すのは結構大変な仕事だ。採り忘れて大きく伸びてしまった竹は切って運び出す。どれを間引くかは将来の生育構想にもとずき相方が決める。私は彼女の命に従って切り出すだけ。例年ならば、力仕事は私が受け持つ
間伐材は「はさ木」などに使われていた時代もあり、それなりに利用価値もあったのだが、今は、この大量の竹はゴミになるだけ。竹炭の研究でもやろうか。
さて、私はまだ、なぜに相方がタケノコを趣味にするようになったか明かしていない。私は若いときから出不精で、それが旅行であれ、ラーメン屋であれ、出かけるための段取りが面倒くさくて”どうしても"というときでない限り「お出かけ」は忌避していた。相方と一緒になった当初は、そ相方に気を遣って、それなりに出かけていたのだが(多分)そのうちにだんだんと本性がでてきて、さらには自営の零細事業が忙しくなってきて、相方のお出かけ提案にも「今回はパス!」を続けるようになった。長男が生まれてからも、次男が生まれても「今回はパス!」が続いた。「パス!」が続くうちに相方も私を誘うことに無力感を感じ、私を含まないお出かけプランを立てるようになった。子供が小さい時分は「お出かけの相手」がいたからまだよかったが、そのうち、子供も大きくなり、亭主相変わらず「寝たきり中年」をつづけ、「一人で出かけるのもなんだかねー」となり、5月の大型連休中も「行くとこないし、やることないし」→「タケノコでも採りにいくか~」ということになり、それが高じて、ついには趣味・タケノコになってしまった・・・。
今年の5月は亭主が体調不良だったため何も手伝えず、収穫、間伐、運び出し、調理、おす分け配達すべて一人でこなした。今年は豊作で、収量は「40~500本くらいかな?」らしい。
つづく
by umetec1910
| 2008-11-13 09:27